新型コロナウィルス関連の規制緩和が進む中、飲食店の人材不足が深刻化している。
物価高も相まって従業員の賃上げについて検討している飲食店も多いのではないでしょうか。
今回は、飲食店経営者に向けたアンケートから、飲食店の人材不足と賃金にまつわるリアルな声をお届けします。
従業員不足を感じる飲食店は約70%
アンケート回答者の店舗の従業員数の充足具合に関してのアンケートから下記の結果が出た。
「やや不足している」:49%
「不足している」:13%
「かなり不足している」:5%
これらを合わせると67%の飲食店が人材不足に陥っている状況が明らかになった。
反対に「充分である」と答えた飲食店は32%だった。
賃上げした飲食店は約40%
直近1年における、雇用者に支払う賃金の変化については下記の結果が出た。
「賃金が上がった」:40%
「変わらない」:36%
「賃金が減った」:11%
このように、「賃金が上がった」との回答が最多であった。
賃上げがポジティブな影響を与えた飲食店は約60%
賃金を上げ飲食店に対してその効果をうかがったところ、下記のような結果が出た。
「従業員の士気が上がったと感じる」:29%
「求人への応募数が増えた」:17%
「離職者が減った」:14%
などポジティブなの効果を得られた店舗が約60%ある一方で
約43%が「特に効果はみられていない」と回答したことから、まだまだ課題があることがうかがえる。
賃上げや業務効率改善の鍵はデジタル導入?
続いて、人手不足解消や従業員の賃金を上げるために工夫していることや導入したものについて尋ねたところ、下記のような回答が得られた。
■業務の効率化・簡素化
・券売機やネット注文などを導入して業務の簡素化を徹底することにより、人材不足対策をおこなっている
・機械化をしながら効率化を行い、削減できたコストを賃金に反映するように努力している
■インセンティブや賞与の導入
・インセンティブ制を導入。店舗売上が基準額を越えた場合に、越えた分の10%をインセンティブとして月給の他に支給している
・売上が基準額を超えた際にボーナスを出すという規定を設け、アルバイトの士気をあげている
知っておくべき?「賃上げ促進制度」とは?
政府が実施する政策のひとつに、飲食店経営者にも関わりのある「賃上げ促進税制」があります。
賃上げに取り組む企業や個人事業主を支援するための制度で、従業員への給与支払い額が前年度より1.5~2.5%以上増加すれば、15~30%の法人税の税額控除が認められるという政策です。
中小企業の飲食店経営者にこの「賃上げ促進税制」を知っているか尋ねたところ、下記のような結果になりました。
「知らない」:49%
「名前のみ知っている」:38%
「概要まで知っている」:17%
概要までを含めると、80%以上が認識していないという結果になりました。
まとめ
コロナ禍以前から課題となっており、コロナ禍において深刻化した飲食業界の人手不足問題。
賃金引き上げにより、一定数ではあるがポジティブな効果が得られたという声がみられた。ただ、「効果が出ていない」、また賃上げ促進制度のような政策を知らない飲食店が多いのも現実である。
人手不足や賃上げに悩む飲食店は、他店舗の工夫なども参考にしつつ、自らで情報収集して対策をおこなう必要があるだろう。